会社四季報の「パワー半導体の材料メーカー」を見ていて、群栄化学工業を知りました。群栄化学工業は、フェノール樹脂を中心とした化学品や電子材料を手掛ける会社です。
一方で、2026年7月には食品事業からの撤退を決定し、2026年末までに糖化品の製造を停止する方針を発表しました。さらに、東京証券取引所のスタンダード市場への市場区分変更に向けた方針も示しています。プライム市場からスタンダード市場への変更は、株式の流動性や機関投資家の投資対象から外れる可能性などを考えると、株価にはマイナス要因になり得ます。
しかし、それを補って余りあるほどの財務健全性があります。また、利益率が低いながらも利益を生み出してきた食品事業から撤退し、電子材料を主軸とする事業ポートフォリオへ転換する方針を明確にしたことに加え、すでに株主側から資本政策について働きかける動きもあります。
財務内容、事業ポートフォリオの変化、株主還元の余地を考えると、今後の企業価値向上につながる材料は多いのではないかと感じました。
フェノール樹脂用いた化学品多彩、レジスト等電子材料用が柱。
祖業の糖化品26年末で製造停止四季報
沿革
1946年 群馬栄養薬品を設立、ぶどう糖の生産を開始
1951年 工業用フェノール樹脂の生産開始
1987年 米国ボーデン社と合弁出資によりボーデン式鋳造法によるシステム販売を目的とした会社を設立
1990年 双日及びタイ王国と合弁出資によりタイにフェノール樹脂の製造販売を目的とした会社を設立
2014年 東北ユーロイド工業の株式を取得
事業内容
化学品事業では、フェノール樹脂をコアとして、工業用フェノール樹脂「レヂトップ」、特殊フェノール樹脂「ミレックス」、鋳物用粘結剤、電子材料用樹脂、高機能繊維「カイノール」、球状カーボンなどを製造・販売しています。
電子材料では、フォトレジスト用樹脂、エポキシ硬化剤、マレイミド硬化剤用樹脂などを展開しています。
特にフォトレジスト用ノボラック樹脂は、1980年に日本で初めて製品化したとされ、現在はg線・i線、液晶向けフォトレジスト用樹脂でグローバルシェアNo.1を掲げています。
また、高機能繊維「カイノール」は、フェノール樹脂を原料とする製品で、同社によれば世界で唯一、群栄化学が製造しています。
業績
| 業績 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 | 一株益(円) | 一株配(円) |
| 連24.3 | 30,310 | 2,729 | 3,162 | 2,040 | 307.8 | 100 |
| 連25.3 | 30,545 | 2,293 | 2,716 | 1,920 | 289.6 | 100 |
| 連26.3 | 31,307 | 2,567 | 2,959 | 1,973 | 297.5 | 100 |
財務諸表 単位:億円(%:資産/売上に対する比率)
資産
現金預金102(15%)
有価証券15(2%)
有形固定資産241(35%)
投資有価証券160(24%)
東京応化などの株を有しています
負債
有利子負債7(1%)
純資産
自己資本比率80.3%
配当性向33.6%
利益剰余金219(32%)
その他有価証券評価差額金70(10%)
損益計算
売上高
営業利益率8.2%
経常利益率9.5%
当期純利益率7.0%
キャッシュフロー
投資額
| 科目 | 前期 | 当期 |
| 減価償却費 | 17 | 18 |
| 固定資産に対する支出 | 30 | 52 |
株主還元
| 科目 | 前期 | 当期 |
| 自己株式の取得 | 17 | 18 |
| 配当金の支払 | 7 | 7 |
株価 個人的な購入価額
4,245円(2026.9.24)
時価総額38,198百万円(15:30)
配当利回り(会社予想)2.83%(15:30)
1株配当(会社予想)120.00円(2027/03)
PER(会社予想)(連)16.57倍(15:30)
PBR(実績)(連)0.49倍(15:30)
EPS(会社予想)(連)256.18(2027/03)
BPS(実績)(連)8,632.33
ROE(実績)(連)3.78%
自己資本比率(実績)(連)80.3%
直近5期の平均EPS:273円
進捗:22%(1Q)
需要・顧客構造(▲5%):
化学品事業は、半導体・ディスプレイ向けの電子材料、自動車・機械・住宅設備向けの工業材料、溶剤回収や航空宇宙などに使われる環境材料を展開しています。電子材料では、半導体向け樹脂が生成AI関連のメモリ需要などを背景に堅調に推移しています。一方、液晶用途では価格競争の影響も出ており、半導体関連であればすべて高収益というわけではありません。
他の半導体関連企業と比べると国内売上比率が高くなっています。群栄化学は半導体そのものではなく、フォトレジストなどに使用される樹脂材料を供給する川上企業です。そのため、群栄化学から見た顧客所在地が日本国内であっても、その先のフォトレジストや半導体が海外で使用されるケースがあります。
食品事業からの撤退によって、今後は電子材料を主軸とした事業ポートフォリオへの転換が進みます。そのため、半導体市場の成長を取り込める一方、半導体のシリコンサイクルによる業績変動の影響を今まで以上に受ける可能性があります。
競争環境(+20%):
群栄化学は、フォトレジスト用ノボラック樹脂を1980年から手掛けており、現在はg線・i線、液晶向けフォトレジスト用樹脂でグローバルシェアNo.1を掲げています。また、分子量や分子量分布の制御、生産プロセス、分析技術、ppbレベルの金属不純物管理などを強みとしており、単純な汎用品だけを製造している会社ではありません。
一方で、フォトレジスト市場には東京応化工業、JSR、信越化学工業、住友化学、富士フイルムなどの大手メーカーが存在します。群栄化学はそのフォトレジストを構成する樹脂材料を供給する立場なので、最終的な半導体メーカーとの距離はありますが、長年培ってきた樹脂技術と品質管理には一定の競争力があると考えています。
ビジネスモデルの有望性(+30%):
群栄化学は、電子材料を今後の主軸事業と位置付けています。
中期経営方針2030では、「高純度・先端材料」を第1の柱として、次世代半導体関連製品のマーケティング・開発力の強化や、高純度・高品質なモノづくりのための生産技術体制構築を掲げています。
これまでにも電子材料向けの製造設備増設や新工場への投資を行っており、半導体市場の成長を取り込むための生産能力を整えています。
群栄化学工業の半導体向け製品は、東京応化や信越化学やJSRなどフォトレジストメーカーに供給しているようです。JSRが非上場化し、国内のフォトレジスト企業と統合する話も上がっており、業界再編による市場の変化にも期待が持てます。
株主優待(+%):なし
個人的な好み(+10%):
自己資本比率が高く、無借金経営であり財務が盤石です。ネットキャッシュ(現金預金+有価証券+投資有価証券)は277億円(26.3)あり、1株当たりネットキャッシュは4,178円もあります。時価総額約382億円に対して、この金融資産が約270億円あることを考えると、現在の株価は事業価値をかなり低く評価しているように感じます。
半導体関連に製品を提供しており、着実な利益も見込めるので、割安さが際立っています。今期は食品事業で4億円程度の損失を見込んでおり、これを除くと2割近い利益成長があるため、割高感もありません。
2026年6月には、DOE5パーセントを中心とする共同保有者が群栄化学株の7.18%を保有しています。保有目的には、企業との建設的な対話を通じた中長期的な企業価値向上に加え、状況に応じて重要提案行為を行うことも明記されています。
個人的な目標株価
PER273×14倍=3,822
PBR8,632×0.7倍=6,042
プレミアム4,932×0.95×1.2×1.3×1.1=8,040
※ブログは個人的な趣味で、株式購入可否は自己判断でお願いします。
以上

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